AI記事生成で制作工数を約4割削減し、1記事のPV数は2ヶ月で200%以上増加。
ヒートマップで改善点が可視化され、予想に頼らない施策を実現
キャンパスノートに代表される文具をはじめオフィス家具や事務機器の製造・販売、空間デザインなどを手掛ける『コクヨ株式会社』。同社は2025年に創業から120年を迎え、コーポレートメッセージ「好奇心を人生に」を掲げ、WEBサイトでは商品情報にとどまらず、コクヨ全体での取り組みや各事業に関連するナレッジやカルチャーを発信する「コクヨマガジン」も運営している。多くの情報を発信している同社の文具事業のWEB担当者は、サイトのデータ抽出に手間がかかることで、プロモーションや施策の実施中にリアルタイムな効果測定を行いながらスピーディーにPDCAを回すことが難しいという課題を抱えていた。また、アクセス数などの数字だけではユーザーの本当の関心が分からず、施策の改善に結びつきにくいという悩みもあった。
この状況を変えるため、同社は管理画面の使いやすさや得られる情報の深さに魅力を感じてUser Insightを導入した。ヒートマップによるUI改善や、生成AI機能を用いた記事制作などを行い、滞在時間の倍増や記事制作工数の約4割削減といった成果を生み出している。ここでは、コクヨがどのようなサイト分析を行って大きな成果に結びつけたのかについて、デジタル戦略グループの加藤氏にお話を伺っていく。
- コクヨ株式会社
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- グローバルステーショナリー事業本部 マーケティング戦略推進本部
マーケティング部 デジタル戦略グループ
グループリーダー 久我 一成 氏
加藤 里奈 氏
- グローバルステーショナリー事業本部 マーケティング戦略推進本部
課題
サイト施策のPDCAを素早く回すために、誰もが気軽に情報を得られる環境を求めていた。全事業部横断のWebメディア運営開始に伴い、限られた時間で8本の新規記事制作が必要に。
コクヨのWEBサイトにおいて、加藤氏は文具事業に関連するページの運用を担っている。User Insightを導入する以前は無料のウェブサイトアクセス解析ツールを用いて、PV数や滞在時間、ユーザー数、セッション数といった指標を追っていたという。当時、加藤氏は「サイト分析を行う場合、その日のスケジュールを長めに確保し、データをダウンロードしてからスプレッドシートに手作業でまとめ、その後にプロモーションや施策の担当者へ共有していました。ツールを使うにも知識が必要だったため、自主的にツールを用いて数字を見る人は多くありませんでした」と、分析にかかる工数に課題を感じていた。
そのため、全てのプロモーションの分析結果や改善提案をリアルタイムでフィードバックすることは難しく、後から『今回のプロモーションはこのようなPV数でした』とフィードバックとして渡すことがもあり、短期間でPDCAを回すことができていませんでした」と加藤氏は振り返る。
さらに、2025年10月の全社リブランディングに伴い、全事業部を横断するWebメディア「コクヨマガジン」の運営を開始。これに伴い、2~3ヶ月で8本もの新規記事を制作することになり、記事作成の効率化も大きな課題の一つとなっていた。
そこで、すでに導入していたSocial Insightとの繋がりからUser Insightの存在を知る。ヒートマップ機能によるユーザー行動の可視化だけでなく、記事生成に必要なSEO関連のデータの取得、AIによる記事の生成も可能な点に魅力を感じ、導入に至った。加藤氏は「User Insightは直感的に操作できるおかげで、サイト公開直後から知りたい数字を見て短期間でPDCAを回せますし、WEB担当以外のメンバーも自発的に数字を見ることができています」とUIに優れている点を強調した。導入後はユーザーローカルによる基本的な操作に関する勉強会を開いたこともあり、社内での展開はスムーズに進んだという。
活用方法
ヒートマップでLPの改善点を視覚的に把握でき、“予想に頼らない施策”を打てる。AI記事生成は違和感のない出力内容で、人が微調整するだけでSEO記事の作成が可能
コクヨはキャンパスブランドのリニューアルでWEBのブランドページを刷新するにあたり、User Insightのヒートマップを活用した。2025年9月、同社はキャンパスブランドの大規模なリブランディングを実施した。ノートのブランドを超え、「まなびかた」を支えるブランドになるという強いメッセージを打ち出すため、LPの冒頭にはブランドの想いを込めたメッセージが配置されていた。複数グループの担当者同士で配置の最適解を議論する中で、ブランドとして発信したい内容とユーザーにとっての分かりやすさ(デジタルコミュニケーション)の最適解をすり合わせる必要がありました。そこで、「公開後に実際のユーザー行動を見ながら改善を進める」という柔軟な方針でページをリリースした。
LPの公開から約2週間後、ヒートマップを確認すると明確な課題が浮き彫りになった。加藤氏は「ブランドメッセージの文章が長い箇所でスマートフォンを中心とした離脱が多く、まなびかたや商品紹介コンテンツに辿り着くまでに50%以上が離脱していることが視覚的に分かりました」と教えてくれた。
ブランドメッセージは確実にユーザーに伝えたい内容のため、それを残しながらいかに離脱を減らせるかを模索した。「担当者間で視覚的に課題を共有できたため、ブランドメッセージに『折りたたみボタン』を設置するという合意にスムーズに至りました」と加藤氏は語った。
また、ヒートマップを確認すると、ページ上でクリックできないインフルエンサーの画像部分にミスクリックが集中していることも発見し、ユーザーの潜在的なストレス要因まで把握することができたという。
サイトの公開前に懸念だったポイントを視覚的に確認できるだけでなく、想定していなかった改善点も見つけられるのがヒートマップの魅力だ。PDCAを「予想」で回すのではなく、数字といった「事実」に基づいて回せるようになる。
また、課題となっていたWebメディア運営開始に合わせた記事の作成についてもAI記事生成を活用。
まずはSEO調査機能を用いて、ユーザーニーズの発掘とキーワード選定を行った。加藤氏はニーズのある単語やSNSで話題になったテーマを日常的に書き留めている。「読書ノート」を軸にしてキーワードをUser Insightで調査した際、「読書メモ」といったニーズを発見したという。さらに、検索上位サイトの構成やAIOverviewsも分析し、「読書」「ノート」「方眼」などの頻出キーワードを抽出して、構成の方針を固めた。
方針を定めた後は、User Insightの記事生成機能を活用し、タイトルや見出し、本文を作成した。AIから出力された案に対し、「自社製品だけにしてほしい」「冗長な前置きを短くしてほしい」といった微調整の指示を出し、記事を制作している。加藤氏は「自分で一から書き上げるのは工数がかかるので、AIにある程度の形を作ってもらえるのはとても助かっています。出力される内容や文章も考えていた内容に近いものが出てくるので、自社視点の調整をするだけで記事を作れます」と教えてくれた。
さらに同社では、AIエージェントモードも活用して記事を制作している。「丁寧に暮らしたい30~40代女性」「効率的に仕事をしたい20~40代男性」といった具体的なペルソナを指定し、AIと対話しながら記事を制作しているという。「AIが既存記事がなども読み込んで記事構成・内容を提案してくれるので、サイト内での言及が矛盾しない記事を作ってくれるのは嬉しいですね。」と加藤氏。
最後は「ターゲットに響く内容か」を人の目でチェックしたり、オリジナルの写真を差し込んだりすることで、効率と品質を両立させている。「キーワードの検索ボリュームをUser Insightで確認できるようになったので、より見られる記事を作るためにも積極的に活用していきたいです」と加藤氏は今後の展開にも期待を寄せている。
成果
ユーザーニーズを満たしたAI記事作成では、制作工数を約4割削減しながら、2ヶ月でPVの200%増加や検索順位1位を実現
User Insightの活用によって、コクヨは大きな成果を得ている。キャンパスのサイトにおいては、ヒートマップで特定した冒頭のメッセージ箇所に「折りたたみボタン」を付けたことで、1分11秒だった平均滞在時間が2分55秒へと倍以上に伸長した。さらに、離脱率は60%から50.8%へ、直帰率は78.2%から68.6%へと改善を見せたのだ。
「コクヨマガジン」の記事制作においても、AI記事生成の活用により、目標であった8本の記事を2~3ヶ月で公開した。この際、記事制作にかかる時間は人の手で制作した場合と比べて約4割も削減したという。さらに、PV数も右肩上がりに伸びている。「収納方法」に関するページのPV数は10月から12月にかけて約200%以上も伸び、AI記事生成機能を使った記事は「コクヨマガジン」のPV数ランキングで1位※を獲得している。加藤氏は「AIを使ってユーザーニーズを満たした記事を作れたことで、少しずつ検索順位や流入数が伸びています。これらは大切な資産になります」と語ってくれた。
※2026年4月時点
これらに加え、社内のデータ活用に対する意識が強まったことも大きな成果だ。かつてはサイト状況を自発的に見るメンバーは限られていた。しかし、加藤氏は「施策やプロモーションの担当者が自発的にデータを確認し、『これはUser Insightで見られますか?』といった質問がくるようになりました。会議でも視覚的に改善点を確認できるようになったため、意思決定がスムーズに進みます」と手応えを感じている。
今後の展望について、加藤氏はさらなるデータ活用を見据えている。各事業部や注力商品グループごとのダッシュボード作成を進めるほか、Social Insightとの連携によるウェブとSNSの相関分析にも力を入れる予定だ。
「昨年の年末に学生の間でバインダーデコが流行した際、Xでのポスト数とLPのPV数の相関関係を確認できました。今後もSNS上の反響がサイト流入にどう影響するのかを分析し、情報発信の施策に活かしていきたいです」と加藤氏は語る。それだけでなく、ユーザーの行動分析に基づいたポップアップ機能の活用も本格化させることを考えている。
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